プラットフォーム会社

クラウドファンディング投資の基本

それでは投資をするスタートアップ会社をリストアップしている仲介業者プラットフォームのポータルについて見ていきましょう。まずは私が使用した事のあるものを中心に紹介します。

WefunderStartEngineNetcapitalEquifund CFPOthers

Wefunder

この会社はこの業界での経験が長く、2012年からロビー活動などをしながらSECの規制緩和を働きかけており現在リーディングカンパニーとして位置しているのではないでしょうか。

Source:Wefunder

この会社について

サンフランシスコがベースの会社で現時点では未上場で2012年の創業以来292社の資金調達を行っており、額面ではトータルは$142Mで現在一位です。(2021年1月時)Wefunder自身にも投資するラウンドがまだあるかもしれませんので要チェックです。

ポータルページ

私は会社を探す際はすべての会社を表示して定期的に上から見ていく方法ですが、業界を絞って検索することももちろんできます。また調達額やラウンドの残り日数などでもフィルターできます。各会社が写真のあるブロックごとに分かれていて直感的に業界やサービスや製品が理解できるので使いやすいと思います。この辺りのリストのデザインはどのポータルもあまり大きくは変わらない感じです。

アカウント管理画面

ログインするとMy Investmentsという所で投資している会社からのUpdateが表示されます。アカウントのプルダウンメニューからPortfolioを選択して自分が投資した会社や投資金額が確認できますが、保有株数の表示はありません。過去の総投資額がCONFIRMEDの横にまとめられて上に表示されています。株式保有証明書などは通常はメールで来て自分でパソコンに保存しておく必要がありますが投資履歴のリンクからダウンロードできるので直ぐに確認出来て非常に便利です。投資した会社のリストのリンクからそのままページに飛んでアップデートを確認もできます。非常にあっさりしていますが履歴の管理としては十分じゃないでしょうか。

Lead Investor制度

エクイティクラウドファンディングは小口投資家が沢山いる場合が多いので物言う株主は通常少ない状態です。リードインベスター制度というのは、投資家の中でスタートアップ投資に詳しい大口投資家がまとめ役として選ばれる制度で、このまとめ役は会社がとんでもない方向にいかないようにし、他の小口投資家の利益を守るために、代表して意見を言う立場にあるようです。もちろん自身もその会社に多額を投資していますので真剣に会社の動向を見ていますし頻繁に創業者と連絡を取っていると思われます。Lead investorの投資額も公開されているのでどのような人がどれくらい投資しているのかというのもチェックして見るといいと思います。

  • コミュニケーションチャンネル

コメント欄のような形で創業者に質問ができます。また、投資家同士がコメントを残すような形の別のコメント欄もあるので生の声を聞いたりするのも面白いです。Lead investorが結構詳しく会社についてコメントを残しています。

  • デューデリジェンス

Wefunderは基本的なRegCFに必要な審査のみで追加で独自に別の審査を行っていないようです。会社が自分のページに乗せている内容やアップデートは基本的な情報は載っていますがさらに深く知るためには自身でウェブサイトで検索するなど追加の作業をするのがいいと思います。

  • 支払い方法

銀行の口座をリンクさせてそこからの支払いのみしか受け付けていませんのでクレジットカードが使えないのですが、一度リンクさせてしまえばクレジットカードと同じように使用できますので特に不便は感じないと思います。

  • 特典

Referral feeというシステムがあり、スタートアップ会社をWefunderに新規で紹介してもしデューデリジェンスをパスして無事リストに載ると$2500を紹介料としてWefunderの口座にもらえるシステムがあるそうです。Startup会社は手続き費用などから$2500の割引が受けられるようです。私は特にスタートアップ会社とのつながりもないので使う場面は今のところなさそうです。

  • 総合判断

このポータルは業界を代表する所なので登録会社数も多いですし、Lead investor制度がいい所ではないかと思います。Lead investorは自身で別のStartupにかかわる教育サービスやウェブサイトなどもやっている方もいるのでそちらに飛んで勉強したりする事でお気に入りのメンター的な人を見つけることができるかもしれませんね。私はそのうちの一人のメンターについて行って投資している案件もあります。

StartEngine

この会社はスタートアップ企業が投資家に売り込みに来るShark tankというテレビ番組のパーソナリティーであり投資家のKevin O’Leary (Mr. Wonderful)がアドバイザーをやっている会社です。

Source: StartEngine

  • この会社について

ロサンゼルスがベースの会社で現時点では未上場で2015年の創業以来145社の資金調達を行っており、額面ではトータルは$132Mで現在2位です。(2021年1月時)業界1位のWefunderを激しく追い上げていてこの先も伸びていく会社ではないかと思っています。

  • ポータルページ

各会社が写真のあるブロックごとに分かれていて直感的に業界やサービスや製品が理解できるのはWefunderと変わらないですし、業界を絞って検索することももちろんできます。こちらでは資金調達額と最低投資額などが各ブロックで確認できます。

Source: StartEngine

アカウント管理画面

自分が投資した会社や投資金額、保有株数や手続きの進捗などが一目で見えて便利です。また、過去の総投資額がRegCFとRegA+に関してまとめられていますので上限に達していないかなど管理するには便利だと思います。株式保有証明書などは投資履歴のリンクに保存されているので直ぐに確認出来て非常に便利です。投資した会社のリストのリンクからそのままページに飛んでアップデートを確認もできます。全体的に非常に使いやすいので私は好きです。

  • 2次市場の開設

この会社はFINRAで規定されている(ATS) Alternative Trading Systemと呼ばれている方式を使用してBuyerとSellerをマッチングする事により2次市場での取引を可能にしています。これにより今までできなかったスタートアップ会社の株式を売り買いできるシステムが去年末頃から開始されています。私個人としては、ここで自分が投資したスタートアップの株を売ってその後の上がりを逃す可能性があるよりも、欲しかったけどラウンドに間に合わなかった株を買うチャンスとして利用したいと思っています。近々実際に買ってみようと思いますので別の機会に詳しくアップデートします。

コミュニケーションチャンネル

コメント欄のような形でスタートアップ創業者に質問ができ、結構まめに返信されているので創業者の人格などを判断したり会社のカルチャーなどもそこから垣間見れるかもしれません。一つの判断材料として使用できるのではないでしょうか。

  • デューデリジェンス

StartEngineは基本的な部分のみの審査で追加で独自に別の審査を行っていないようです。会社が自分のページに乗せている内容やアップデートは基本的な情報は載っていますがさらに深く知るためには自身でウェブサイトで検索するなど追加の作業をするのがいいと思います。

  • 支払い方法

クレジットカードで支払いができるのはメリットです。手軽に$500や$1000ドルの投資だと銀行のWire transferよりもクレジットカードの方が手軽です。

特典

去年の夏ごろのラウンドでStartEngine自体に投資をした場合には特典がありました。次のラウンドではあるかはわかりませんが、$1000以上投資するとStartEngineで扱っているスタートアップ会社にその後一年間は投資額の10%のボーナス株が自動的にもらえます。また、その期間以内に一定額以上をリスト上のスタートアップ会社に投資するとさらに1年延長というキャンペーンもありました。このように、ポータル自体に投資すると色々なメリットがありますのでこれから伸びそうな会社を見つけてそれ自体に投資する事も考えるのもいいと思います。

総合判断

このポータルは使いやすさが良く私は好きですし、特典もありますのでまず最初に積極的に巡回して目ぼしい会社を探すのに使用しています。

NetCapital

私は昔からありますね。大分昔に訳も分からずにスタートアップ投資に興味があったときに既にこの会社のウェブサイトに行きついた記憶があります。なんとなくですがその頃から可もなく不可もなくビジネスをやってきている印象でしょうか。

Source: Netcapital

  • この会社について

ボストンがベースの会社で現時点ではOTC市場で上場しています。2001年の創業以来57社の資金調達を行っており、額面ではトータルは$16Mです。(2021年1月時)

  • ポータルページ

各会社が写真のあるブロックごとに分かれていて直感的に業界やサービスや製品が理解できるのは他と変わらないですが一つ一つのブロックの情報量が多いので人によってはこちらの方が見やすいかもしれませんね。

各会社のブロックを開くと会社のビデオなどがあるメインページが出てくるのですが私が好きな機能はPitchという所を押すと、その会社に関する概要や会社情報にすぐに飛ぶことができる機能です。

Source: Netcapital

アカウント管理画面

自分が投資した会社や投資金額、保有株数や手続きの進捗などが一目で見えます。過去の総投資額のまとめはなさそうな感じですが、まだ一社しか投資していないのでわかりません。株式保有証明書などはサイトでは保存していないので自身でパソコンに保存しておく必要があります。投資した会社のリストのリンクからそのままページに飛んでアップデートを確認もできます。

  • 2次市場

この会社もStartEngineと同じように売り買いが可能な2次市場を用意しており、こちらの方が昔からやっているようです。実際に使用した事がまだないので今後また詳しくお伝えできればと思います。

コミュニケーションチャンネル

こちらでもコメント欄のような形でスタートアップ創業者に質問ができます。この機能は昔はなかったような気がするのですが、最近できたのでしょうか。また、時々セミナーなどのイベントもあるので一度参加して報告させてもらおうと思います。

  • デューデリジェンス

Netcapitalは基本的なRegCFで必要な部分のみの審査だけではなく、追加で独自に別の審査を行っているようです。100ポイントチェックという独自審査を行っているようですのでリストされている企業に対しての信用が少し増しますね。

  • 支払い方法

特典

特に特典はなさそうです。

総合判断

このポータルは各スタートアップ企業毎の情報量が多い傾向があるかと思いますし、独自のデューデリジェンスを行っているのでリストされている企業が粒ぞろいな気がしますので巡回する上では一応見ておくのがいいかと思います。

Equifund CFP

この会社はヨーロッパの会社でアメリカに参入したのは最近なのでしょうか。アメリカでは紹介しているスタートアップ企業が今のところ3社しかないので下のキャプチャーにすべて出てきます。

Source: Equifund CFP

  • この会社について

ヨーロッパがベースの会社で€300M 程の規模のようなので母体は大きいと思われます。アメリカでは4社に資金調達を行っており、額面ではトータルは$3Mです。(2021年1月時)フリーのウェビナーなどを積極的に行っており、一度登録して参加しそびれたのですがまた紹介できればと思います。

  • ポータルページ

今はまだリストが少ないのでこのポータルで新規の会社を探して投資するかの判断は直接ボックスを開いて詳細を見ていく事になります。

アカウント管理画面

自分が投資した会社や投資金額、保有株数などが一目で見えます。株式保有証明書などはサイトで保存しているのでダウンロード可能です。投資した会社のリストのリンクからそのままページには飛べないですが、Current Offeringsからすぐに探して移動する事ができます。

コミュニケーションチャンネル

こちらでもコメント欄のような形でスタートアップ創業者に質問ができます。

  • デューデリジェンス

Equifund CFPは基本的なRegCFで必要な部分のみの審査だけではなく、追加で独自に別の審査を行っているようです。

  • 支払い方法

特典

特に特典はなさそうです。

総合判断

このポータルはまだ情報量が少ないので特別おすすめできるわけではないですが、私が経験したという事で紹介させてもらいました。この会社はメールで結構頻繁にエクイティクラウドファンディングの最新情報などをくれたり、ウェビナーをやってくれたりと色々サービスがいいような印象があります。これからもっとリストが充実してくるとこちらで新しい会社を探したりする事ができるかもしれませんね。

Others

私はまだ使ったことはないですが、ほかにどのような所があるか見ていきましょう。

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ニュース

SECのルール変更について

Equity Crowdfundingには朗報になりますが、SECが一般投資家のRegCFに対する投資上限の変更と、スタートアップ企業側の公募額上限の増額やその他の変更を行いました。もちろん上げる方向での変更になりますのでクラウドファンディング投資への資金流入の増加が期待されます。さらに資金が流れ込む事により、企業もより早く、より多くファイナンスできる事になり上場へのスピードも加速するのではないかと思われます。さて、ひとつづつ見ていきましょう。

※詳しい計算方法に関してはこのページの投資額上限のタブで例を使って説明しています。

一般投資家の新しい投資額上限

Tier1

年収もしくはNet worthのどちらか、もしくは両方が$107000以下の場合。この場合はどちらか多い方の5%までが上限の投資可能額です。変更点は、今までは”少ない方の5%”でした。

誰でも一年間に$2200までは投資可能ですので、もし年収かNet worthのどちらか多い方の5%が$2200より少なければ上限は$2200となり、多ければ5%の計算結果が上限になります。

Tier2

年収もしくはNet worthの両方が$107000以上の場合。この場合はどちらか多い方の10%までが上限の投資可能額です。変更点はTier1と同じく、今までは”少ない方の10%”でした。これにより、例えば引退した方で年収は年金などで少ないが資金は銀行にたっぷりあるというリッチ退職系の人の投資額が、今まで年金の収入の5%(Tier1に部類していた)に制限されていたのが、銀行資産の10%まで投資できるという事になりますのでかなりの増額になります。

Tier3

Accredited investorの場合ですので、無制限に投資可能です。過去2年の年収が$200000を超えており(配偶者と合わせて$300000を超えている)今年度も同じくらいが期待できる事が条件です。もしくは、Net worthが$1Mを超えている事でも条件が達成できます。(昔は両方満たしているのが条件だったと思うのですが、2019年の1月にどちらかを満たしている事に変わっているのではないかと思います。古いPortalなどでは両方が条件と言っているところもあります。)また、このカテゴリーは他にも条件がありますので下のリンクを見て頂ければと思います。

SECのPress Releaseのリンク(Accredited Investorの定義)

https://www.sec.gov/news/press-release/2020-191

SECのInvestor.govInvestor.govのリンク

https://www.investor.gov/introduction-investing/general-resources/news-alerts/alerts-bulletins/investor-bulletins/updated-3

上限計算上の12か月の期間

たまにこういう公的資料で、大事な部分がわからないので困る時がたまにありますね。上限額は12か月間に投資できる上限というのは理解しましたがいつからいつまでの12か月間かの明記がなく、いろいろ当たってみてもカレンダーイヤーの1/1から計算した12か月か(1/1にゼロにリセット)、ローリングイヤーのその日から12か月遡って計算するのか(上限に達成したら、前年の一番古い投資から一年たった時にその分のみ投資可能だが、投資後また上限に達するので2番目に古い投資日までまた待つ必要がある)解釈ははっきりしないようです。いろんなPortalの解説やセミナーでも話されていますが、基本的にはローリングイヤーで計算しておき、いつどの時点で12か月分を合算しても上限を超えていないように管理する方が安全だと聞いていますし、私もそうしています。過去の投資日と金額を自分で管理する事が非常に重要です。下記はSECの原文の抜粋になります。

Because of the risks involved with this type of investing, however, you are limited in how much

株とデリバティブ投資

Hindenburg Omen点灯

先週中頃にNASDAQが下げ止まりを見せてじわじわと上がっている展開になっていますが、今回は少し戻りが鈍いような感じがしてそのまま積極的に買って行っていいのかが難しい展開です。米国債が一応下げ止まっているように見えますが反転していないのも原因でしょうか。

先週ヒンデンベルグオーメンのシグナルが3/4に点灯したと巷で聞いたのですが、みなさんはこれをご存じでしょうか?過去に2020年の1/30に点灯し、3/23に36.9%のコロナショックの下落につながった歴史があります。

不吉な響きからも想像できるように、マーケット下落というか暴落が近々起こるかもしれない予兆のサインのようです。このサインは統計的な事実と比較してマーケットの状況が逸脱していると考えられた時を捉えるというイメージだと思いますが、点灯条件が少し複雑でしかも細かい所が色々違ったりするのですが、私が調べた範囲で分かった事を個別に見ていきましょう。

52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄数の合計がすべての銘柄数の2.8%以上を占めている場合。マーケットインデックスの52週高値が52週低値の2倍を超えていない事。これは絶対条件のようです。上昇トレンドが継続している事。10週移動平均線や、50日ROC(Rate of change)で確認できる事。McClellan Oscillator が負の値であること。

皆さんなんとなくピンと来たでしょうか?この条件を一瞬で理解して、『あーなるほどね』とか言える人は神ですが、私なりに以下のように理解しました。

インデックスは上昇トレンドを示しているが、かなり加熱しているすべての銘柄が上がっているような激しい短期的に起こる上昇トレンドではなく、緩やかに上がっているトレンドである。詳しく内訳を見ると下がり続けている銘柄が多くなっていて、値上がりと値下がり株の差を移動平均で比較しているMcClellan Oscillatorが負を示しているという事は、値下がり銘柄が多い状態である。つまり、銘柄の動きを見ていると下がっているものが多くなってきているがインデックスのみ惰性で上がり続けている状態という事でしょうか?

自分で個別の条件で判断して見つけるには非常に面倒な指標ですし、あまり点灯しないので、忙しい兼業投資家の方々はニュースとかで点灯した事を確認するだけで十分なんじゃないでしょうか。

それでは、具体的にどうするのかという話の方が重要ですね。シグナル点灯後に暴落が一か月後くらいに起こる可能性が高いという事ですので、私なりに対策を考えました。

VIXなどのボラティリティインデックスを毎日モニターする。米国債金利の急上昇なども注意。

買いで入っている銘柄は上がった時にとりあえず逃げてポジション縮小

ヘッジを入れる。ものによって入れ方は様々ですが、暴落するとVIXは上がるのでVIXの指数先物と連動するVXXなどを買っておくか、先物売りか、株か指数のPut買い辺りでしょうか。

さて、戦略が決まったところで暴落を待つことにしましょう。暴落で取っていくのはタイミングが結構難しいですが、4/4くらいからはVIXの動きを逃さずにモニターして乗っていきたいと思います。キャッシュポジションを温存して下げ止まったところで買いに行くのもいいですが、VIXは非常に狭い上がりきったピークの時などに運よく遭遇できれば、VXXのPut買いなどで暴落後の回復時にも取れるので往復取りができるかというのもチャレンジしてみたいですね。とりあえずこのブログを書いている最中に安値更新中のVXXの4月16日と23日のCallを買って往復の往の部分を仕込んでおきました。皆様も来るかもしれない暴落に備えての戦略を立てて腕試しをしてみるのはいかがでしょうか。

クラウドファンディング投資の基本

投資先のスタートアップの分析 (Deal Checklist)

投資するスタートアップ企業を選別する際は、通常の株式投資と違って開示情報なども少なく、会社の良し悪しを判断するためのデューデリジェンスを行うのが難しい場合が多いです。また、どのステージで投資に参入するのかという事も重要になってきます。この章ではクラウドファンディング投資の際のDeal flowを分析する上で一般的に使用される方法についてDeal checklistとしてまとめてみようと思います。

雑草を抜く財務の健全性マーケットSeries-A,B,CStage毎のシェアの希薄化

Weed out the Losers

Early Stageのスタートアップがどのような資金を必要としているのかという分析から始まり、その会社が参入しようとしているマーケットを理解を深め、将来性のあるクラウドファンディングのDealを見つけるというのは株式ポートフォリオを少しいじるのに比べて、非常に難しいですが、その分成功すればリターンは当然大きくなります。半面、経験のあるエンジェル投資家でも半分のポートフォリオは2,3年以内にやられてしまうと言われている現実があります。

このような事を考えると、最高のDealを見つけるという事はまずは最低のDealをリストから除外するという事が成功の可能性を上げるうえで一番最初にやるべきことであると考えられます。それでは、どのような会社がBad Dealである雑草であり、除外する対象になるのでしょうか。悪いDealによくみられる警告サインについてリストアップしてみましょう。

創業チームの誰もがその業界の十分な経験がないのは危険です。業界がどのように動くのかという現実的な知識に詳しいアドバイザーが初期段階で必要です。

創業チームの誰もが財務の経験がないのも危険です。創業チームにいない場合は実際の数字に詳しいアドバイザーが必要です。

経営陣のマーケットシェア獲得の見積もりが過大な場合は危険です。スタートアップ企業が初年度で10%のマーケットシェアを新たに取るなどとうたっている場合は眉唾ものです。基本的にはうまくいって一桁が現実的な所です。

経営陣の出す工程表が楽観的過ぎたり、現実的でなかったりする場合は危険です。発達段階の会社が、ゼロから始めて2,3年後にIPOなどというのは基本的には非現実的です。

競争相手を過小評価している場合も危険です。たとえどれだけニッチな分野だとしても、必ず競争相手がいます。最新の技術やプロダクトなどで競争相手がいないと言っている経営者は無知か自信過剰です。多くの場合、業界に競争相手がいて負けないよう意識しながら発展していく状況の方が健全な場合が多いです。

競争過密なマーケットにいるスタートアップに投資するのは多くの人が敬遠するかもしれませんが、スタートアップがそういう業界にプロダクトを持っている場合は、何かその会社独自の強さを持っている可能性があり、それが他社をひきつけて買収される事につながる可能性も考えられます。

財務に関しての注意事項

ここでは簡単に経営者の財務に対する姿勢も含めての警告サインを見ていきます。

たとえEarly Stageのスタートアップでも財務報告が全くなく、コストの見積もりや支出の見直しをしていないのは危険です。利益がなくとも、コスト体制や売り上げの見積もりは出していないと危険です3年以上売り上げが出ていない場合は危険です。製薬業界などプロダクトを出すまでに長時間かかる業界は別として2年以内には売り上げが出ている事が望ましいです。

マーケットに関して

スタートアップ企業の創業者はマーケットシェア獲得のために競争するよりもニッチなマーケットを目指す傾向があります。つまり、ターゲットとするマーケットが現実離れしている可能性があります。まずは危険信号から見ていきましょう。

スタートアップがターゲットにしているマーケットのトータルのサイズが$100M以下の場合は成長が期待できないかもしれません。スタートアップが5%のマーケットシェアを取って売り上げが年間$5Mになりますが$200M以上のマーケットをターゲットにしている会社が望ましいです。

各マーケットに対してのコストの見積もりが競争相手と比べて非常に楽観的である場合は、競争相手の上場企業の年次レポートなどを確認して真偽を確かめる必要があります。スタートアップ企業のコスト体制が上場企業よりも効率的なことは稀です。

スタートアップが非常に幅広くいろんなマーケットに参入していたり、相当ニッチな所のみでビジネスをやっているかというどちらか両極端の場合も危険信号です。ある程度のサイズのトータルマーケットは必要ですが、幅広すぎるマーケットではスタートアップはそれぞれの競争相手と戦い続けることはできませんし、ニッチすぎる場合はマーケットの伸びが期待できないことになります。

次にマーケットリサーチをする上で重要になってくることは何でしょうか。スタートアップ企業に投資する際は、自分もビジネスパーソンの一人になり、シビアにスタートアップ企業がそのマーケットで戦っていけるのかを判断できるようになる必要があります。どのようにマーケットを見ていけばいいのでしょうか。

マーケットサイズと毎年のマーケットサイズ伸び率

そのマーケットでスタートアップ企業と競合他社がどれほどの売り上げを上げているのか

マーケットの状態(独占か共存か)

マーケットが地元限定かそれとも広いエリアもしくはグローバルか

企業がどのようにマーケットを取りに行っているか(低価格路線、プロダクトの品質、競争力の高いセグメント)

企業がどのような宣伝や広告を行っているのか

新しい競合他社がマーケットに参入した時の競合他社の反応方法はどうか(価格競争、もしくは違う方法)

プロダクトが季節ものなのか通年同じように売れるのか

プロダクトのセールスサイクルはどれくらいなのか。(材料購入から出荷まで)セールスサイクルが長くなると売り上げからキャッシュが入ってくるまでの時間が長くなるので会社を維持するための資金がその分多く必要になります。

ここ10年でマーケットはどのように変化したか、また次の10年でどうなるのか

最初のステップはマーケットサイズの把握です。例えばアメリカでの車とトラックの総売り上げ台数は19M台で、金額は$61Bです。幾多もの会社がこのマーケットでひしめき合っています。このようにスタートアップ企業が参入している全体のマーケットサイズを理解するのが最初のステップになります。

次にトータルのマーケットが毎年どれほど伸びているのかと、どれほどの売り上げを競争相手が上げているのかを見る必要があります。また、経営陣がうたっている売り上げ目標は単純にマーケットサイズで割ると必要なマーケットシェアになるので、それが現実的に可能かの判断ができます。

マーケットが2,3個の大きな競合他社に独占されている場合は彼らはシェアを強固にするために値下げや広告を打って立場を強化してくるので手ごわい環境ですが、ばらばらの競合他社によって共存されているマーケットでは、マーケットシェアを増やす事は難しくはない分、新規参入企業にシェアを奪われる危険も伴います。

スタートアップ企業は伸び続けなくてはいけませんので、マーケットが広いエリアもしくはグローバルでなくてはいけません。エンジェル投資家はマーケットが$100Mか$200M以下の企業は投資判断から外すと言われています。もし企業のシェアが2,3%ならば、自分の投資額が10倍になるには一体どれくらいマーケットが大きくならないといけないのかを考えた時に現実的ではないと思えますね。

マーケットには競争の厳しいセグメントがあります。価格競争とクオリティ競争です。低価格競争はサイズメリットのないスタートアップ企業には成り立たない分野です。スタートアップ企業はクオリティや差別化のできるセグメントで勝負するのが向いています。マーケットリサーチでは、企業がこのセグメントでそのプロダクトが確実に顧客を納得させることができるのかを調査する必要があります。

企業がどのような広告媒体(TV,インターネット、新聞)を使用しているのか、また競合他社はどうなのか。客を獲得する際の宣伝文句やそれが経営陣のマーケティングの方向性とマッチしているのかなども確認する必要があります。

競合他社が価格競争で新規参入の企業を排除する動きになった場合は自身が投資しているスタートアップ企業は追従するのか、また売り上げへの影響はどうなるのかなどを考察する必要があります。

Series-A,B,C…

スタートアップ企業はEarly stageでのテストプロダクトを成功させて次は大量生産モードに入るためにさらなる規模拡大の資金調達が必要になります。この初めの段階はSeries-Aと呼ばれてベンチャーキャピタルなどが参入しだすタイミングです。

その後、Series-B, Series-C, Series-D…と資金調達が繰り返されますがこの各段階はラウンドと呼ばれます。この段階のどこかで会社の利益はプラスに転換します。スタートアップ企業はValuationで大きさが図られますが、この段階では企業のシェアを多く手に入れようとした場合はSeed Stageで投資した投資家と同じくらいのシェアを何倍も多く投資する必要があります。

Seriesの最終段階では企業はIPOのコストのための資金調達をして投資銀行などとIPOの手はずを整える準備に入ります。この最後のラウンドはBridge-financingなどと呼ばれ、IPOまでのつなぎの資金調達という認識になります。

ここまで来るとあとは座してIPOを待つという段階に来ますので成功はすぐ目の前ですね。場合によっては持ち株を増やして会社のシェアを維持するための追加投資なども考えてもいいかもしれません。

Stage毎に投資する必要があるか

最期に株の希薄化について少し考えてみたいと思います。初めに投資した額で買った株は各ラウンドを経るごとに資金が流入することで希薄化していきます。

Seed Stageで$1000投資をしてもその後のStageで会社が新株発行で資金調達すると持っている会社のシェアの比率が希薄化により下がります。それを防ぐためには初めのラウンドで投資して終わりではなくその後のラウンドでも引き続き投資をする事によって自分の持っている会社のシェアの比率が下がる事を軽減する事が出来ます。

ただ、Seed Stageで$1000投資していればIPOまでこぎ着けた段階で株価が上がりますので会社のシェアを心配しなくても多額の利益が確定しているのでそこまで心配する必要はないと思いますが、戦略としては数撃ちゃ当たるのショットガン戦略で一発投資して次のターゲットに行くか、しつこく同じ会社に撃ち続けて希薄化を防ぐ戦略で行くか個人の好み次第で判断する必要があるのではないでしょうか。

クラウドファンディング投資の基本

資金調達のステージとは

スタートアップ企業のビジネスの利益は一般的に知られるJ-カーブに従う場合が多いと言われています。皆さんもエクイティクラウドファンディングに投資する際はこの事実を頭の片隅に入れて投資を行う事が大事だと思います。J-カーブに伴う資金調達のパターンは各状況での段階を経て行う事が多く、この各段階はステージと呼ばれます。ここではJ-カーブについて軽く触れた後に、一般的に使用されている各ステージについて見ていきましょう。

J-カーブSeed StageEarly StageSeries-A,B,CStage毎のシェアの希薄化

J-Curveとは

J-カーブでは下の4つのステージがあります。この区切りは別に明確な線引きがされているわけではなく、その辺りで資金調達がされた場合はどこどこのStageでの資金調達という形で認識されるといった感じでしょうか。各Stageでは複数回の資金調達がされる場合があり、それぞれはラウンドと呼ばれます。

Source:Lionel Guerraz’ blog

Seed Stage

Seed stageは見た目通りValley of Deathと呼ばれるJの底部分に向かっていく所になります。売上がないので当然と言えば当然で利益の部分はマイナス方向に沈んでいく事になり、支出のみが続くStageです。投資は自己資金や家族友人からが中心になりますが、エンジェル投資家や、たまに物好きな勇者が参加するかもしれません。

Early Stage

Seed Stageを抜け出すと、少し売り上げが入りだしますので支出を部分的にカバーできるようになりますが、まだ支出が続いているところが多いでしょう。Early Stageの最初のラウンドでの資金調達はテスト的なプロダクトやサービスを狭いマーケットに提供したり、従業員を増やしたりするのに費やされます。そしてテストが成功して会社の将来性が見えてきた所でさらなるスケールアップのための資金調達が2回目のラウンドで行われ、もしかするとこの辺りから売り上げが支出をカバーしてブレークイーブンになるかもしれません。ベンチャーキャピタルが参入してくる頃で、我々クラウドファンディング投資家の出番です。

Series-A

Early Stageを抜けた会社はかなり強くなっているので将来性も確信できるので、最初のラウンドではビジネスのスケールアップを目的に資金調達がされます。Early Stageと同じような顔ぶれの投資家ですが、銀行なども融資をし出す頃ではないでしょうか。

Series-B 以降

この段階まで会社が成長すると、いくつかのラウンドでさらなる規模拡大が行われますが、最終ラウンドではIPOの審査に通る事を視野に会社の規模を大きくしたり審査のコストを準備したりという大詰めの段階になります。この辺りは担当投資銀行やIPOを扱う引き受け証券会社なども入ってくる頃ですね。

Seed Stage

Seedとは種という意味ですのでそのまま種植えの段階です。会社の創業者はアイデアのみはありますが、実際にマーケットでテストしたり、検証したり、法的な書類作成などは行っていません。自分の知人や友人から借りたり自己資金を使いながらさらに資金調達をしてビジネスをスタートさせる段階がSeed Stageと呼ばれます。その名の通り、このステージがなければ種が地面に埋まることはないのでビジネスとしてスタートする事はなく、頭の中のアイデアで終わります。この段階が一番リスクの高い状態で、90%のスタートアップはこの時点で失敗すると言われています。失敗する理由としては、資金調達がされると従業員も増えるのですが、創業者が自分のコントロールを失いたくないために権限を他のメンバーに移すのを渋り、チームとして円滑に事が運べないスタートアップは創業者が色々なことに精通しているべきですが、創業者にスキルがなかったり、エネルギッシュにそのスキルを習得することを避けたり、そもそもハードワークを避けたりなどの創業者のメンタルが原因のケースこのステージの投資家は創業者自身はもちろんですが、他の投資家はFFFと呼ばれています。FAMILY, FRIEND, FOOL(笑)です。ファミリーやフレンドはわかりますが最後のフールというのは部外者で投資しているバカという事ですね。それくらいリスクが高いという事が理解できます。この時点の投資家はビジネスよりも創業者を個人的に応援しているケースが多いと思います。創業者はスタートアップ経験が豊富なアクセラレーターやインキュベーターなどに助けられながら成長していく事になります。エクイティクラウドファンディングでこの段階で参入する事はまれだと思いますのでFOOLになれるチャンスは残念ながらあまりなさそうですね。(笑)

Early Stage

ようやくスタートアップ企業はSeed stageを乗り越えてやっとテストプロダクトなどを売り出せる状態になってきます。この段階ではSeed stageで調達した資金が底をついてくるので新たな資金調達が製品の量産やセールスの拡大の為に必要になってくる段階です。Seed stageを乗り越えて出したプロダクトは将来性のあるものと認識はされますが、Early stageではより大量に広範囲にプロダクトを広げていく必要があります。広範囲といっても今までのテストよりという意味で、地元の一部のエリアにサービスを提供するという範囲になります。この段階では利益が入ってくる段階ですので支出を収入が補いだす状態になり、J-カーブが上向きの方向に変わりだす変曲点の位置になります。このステージでは、規模の拡大に伴うリスクが考えられます。ビジネスのサイズアップは滞りなく行え、コストの上昇など期待外の損失の可能性はないか。お客さんの満足度は満たされるかやマーケットシェアは獲得できるのか下請け業者などが会社の規模のスケールアップについてこれるのかこの時点で投資する場合はビジネスの将来性やプロダクトの強さ、マーケット動向などを考えてDeal flowに参加するかどうかを決定する必要があります。私はこの段階が我々クラウドファンディング投資家のメインのターゲットになると思います。

Series-A,B,C…

スタートアップ企業はEarly stageでのテストプロダクトを成功させて次は大量生産モードに入るためにさらなる規模拡大の資金調達が必要になります。この初めの段階はSeries-Aと呼ばれてベンチャーキャピタルなどが参入しだすタイミングです。

その後、Series-B,