はじめにお読みください

クラウドファンディング投資の基本

まずはイントロダクションとして、ここ数年間のうちに起こった重要な環境の変化についてまとめたいと思います。下のタブを左から目を通していただければと思います。また、12か月間の投資額上限が収入や純資産によって決まっているのでその辺りも触れていきたいと思います。

はじめに今まで変化の時これから投資額上限

イントロダクション

 初めまして、Brinと申します。
私はアメリカでの未公開株投資に関してはまだ2020年に始めたばかりですが、これから将来的に伸びていく分野だと思っています。
 既に投資をやられている方やエンジェル投資家の方、ベンチャーキャピタルのプロの方々には有意義な内容にならないと思いますが、私が今まで学んだ事やこれから学んでいく事をまとめると、もしかするとこれから始めようと思われている方の役に立てるのではないかと思い、サイトを作成しました。一般投資家でこれから始めたいという方々に主に読んでいただければと思います。
 私は現在アメリカ在住ですので、アメリカ在住の方でしたらそのまま適応できる情報だと思いますが、日本や他海外から投資するとなるとまた別の制約や手続きが必要になると思います。今のところは私のアメリカからの投資経験をもとに投稿しますが、そのうち日本からの手続きなどもできる限り調べていきたいと思います。
未公開株投資は流動性が低く、ハイリスク、ハイリターンの投資になりますし、また私はプロの投資家ではありませんので、内容に関しては参考程度に読んでいただき、投資判断は自己責任でお願いいたします。
いつかは未公開株投資に既に投資されている方やこれから始めようと思っていらっしゃる方々と将来一緒に成功を分かち合うことができればこの上ない幸せです。

これからもよろしくお願いします。

今まではどうだったのか

 皆さんは、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルと聞いてどのようなイメージを持ちますか?なんとなくお金がいっぱいあって凄く儲けている人や集団で、ニュースでは見るけど我々一般人とはあまり関係が薄い人々と漠然と思いませんか?それはおそらく一般人にはスタートアップ企業に投資するというのは縁の遠い存在だったからではないでしょうか。

 構造上はその通りでした。未公開株投資は長い間選ばれた投資家のみが参加する事ができるものでした。つまり、ベンチャーキャピタル(VC)や個人ではAcredited investorと呼ばれる適格投資家(いわゆるエンジェル投資家のニュアンスでしょうか)のような人たちのみが参加できるものでした。一般投資家は、たまたま創業者や役員と知り合いで当事者間取引で分けてもらう(普通はありませんよね)などを除けば、投資するチャンスはありませんでした。適格投資家というのは、2020年11月時点では、純資産が最低百万ドル以上で、かつ年収が20万ドル以上の投資家ですので日本では億り人に近いイメージでしょうか。これくらい持っている人であればハイリスクを取ることが可能と判断されたのが背景のようです。

皆さんも未公開株投資は当たれば儲けがすごいイメージがあると思いますが、残念ながら限られた投資家のみが利益をさらに増やし続け一般投資家は聞いた事があるけど指をくわえて見ているという場でありました。

実例で見てみますと、みなさんご存じのPeter Thielですが、Paypalで成功した一人ですね(Paypalマフィアと呼ばれる)。彼は2004年にFacebookに50万ドル投資しました。そして最終的に2012年にIPOで株価は38ドルになり、50万ドルは17億ドルになったと言われています。3400倍です。これはさすがに極端な例かもしれませんが、それくらい未公開株投資はハイリターンであるというのは理解いただけたと思います。

このような一般投資家には閉鎖的な状態が続いていたので、またあの人がすごいお金を儲けたとかニュースが流れるたびに、ああ、そうですか、よかったですね。という感じで外野から傍観する状態が続いていたのですが、とうとう転機が訪れました。

何が起こったのか

 時代を変えたのはクラウドファンディングです。
みなさんクラウドファンディングという言葉は耳にしたり既にそういうプラットフォームを使われた経験があるかもしれません。これは不特定多数からインターネット経由で人や組織が掲げるテーマに賛同したりした場合に経済的に協力する場合に使われることが多くなりました。映画作成やアーティストへの協力や、社会活動などに使われています。

このクラウドファンディングを使って未上場の会社に投資をしようという動きが出るのはある意味自然な流れで、とうとう2016年5月16日に一般投資家の外野勢にとっての歴史的な転機が訪れます。
ウォール街の人々や先ほどの既得権益者にとってはもちろんあまり歓迎されることはありませんでしたが、ついに5月16日にSECのルール変更が有効になり、待ちに待った未公開株投資の門戸がとうとう開かれたのです。これはEquity Crowdfunding投資と呼ばれているもので、クラウドファンディングの形態でスタートアップ企業が資金調達ができるようになりました。クラウド=一般投資家、つまり束になった一般投資家が直接スタートアップ企業に投資する体制が整ったという事です。

これを機に、Equity Crowdfunding投資を仲介するプラットフォーム会社などが沢山生まれる流れになり、これはポータル会社と言われますが、我々一般投資家でもこのポータル会社を通して投資する事ができるようになりました。

もちろん収入や純資産によって年間の上限などが設定されていますが、(現時点での状況を最後のタブにまとめておきます)1年間に2200ドルまでは誰でも、会社員でも主婦の方でも、収入がなくても無条件で投資可能です。
最低投資額も会社やプラットフォーム会社によりますが100ドルや500ドルなど少額に設定されています。(後述しますが、あまり少額な投資はおすすめしません)また、株主優待のように会社によってはある額以上投資すると特典があったりします。
今はまだ一般投資家でもやっている方は少ないようですが、これからは誰もができるという事もあり、だんだん普及してくるのではないかと思っています。

これからどうなるのか

さて、開始のゴングは鳴りました。それではこの先盛り上がるのか、寂れるのか、どういった方向に動きそうかというのを私なりに考察してみました。

  • ファイナンスの多様性

まさにエクイティクラウドファンディングが一般的になってくると、スタートアップ企業にとっては今まで頼っていた親類からの出資やエンジェル投資家からの出資だけではなく、資金調達手段としてのクラウドファンディングを使うことができるので幅が広がります。我々一般投資家からのお金を使用する事ができますのでファイナンスのハードルが低くなりますし、エンジェル投資家などに売り込む厳しいプレゼンなどとは違ったアプローチとしてそれを使用できます。

  • SECの積極的な姿勢

後の投資額上限の項で詳しく述べていますが最近のSECの一般投資家の投資上限の緩和により、さらに多くの資金がこの世界に流れ込んでくることが見込まれます。これからも規制緩和の方向に動いていくのではないかと期待しています。

  • 出口戦略の多様化

未公開株は基本的にはその会社が上場するまでは現金化するチャンスがないので忍耐強く上場を待つことになります。会社にもよりますが通常は6年から10年程かかりますのでかなりの長期投資となりますがその間に会社の状態がどうであれ手放すことはできませんでした。最近この分野でも変化が起こっています。未上場株の取引きがいくつかのプラットフォームで可能になっています。つまり、相対取引になりますが保有株を買いたい人がいれば売ることができるシステムが出来ています。もし、未公開株投資をしてみたが上場までの間に現金化の必要が出た場合はこの選択肢を取ることができます。

  • SPAC上場の増加

去年くらいからよく耳にするSPAC(Special purpose company)ですが、プロフェッショナルによるグループが資金を集めて上場し、上場後に成長の可能性のある会社を探して未上場の会社を買い取るというシステムです。詳しくは後述しますが、スタートアップ企業にとっては煩雑な上場プロセスを飛ばして上場する事ができるので短時間で上場できるメリットがあります。2020年くらいからSPACによる上場が増えており、これからも増えてくる事が期待されますので、全体的に投資の現金化までの時間が短縮されますね。

  • 現在ベンチャー企業家というか零細企業の人たち

これに関してはマスコミなどで語られている一般的に有名なユニコーンの伝説的な創業者への理解とは少し違うのですが、85%くらいの零細企業はX世代とベビーブーマーと呼ばれる39歳から73歳の間で運営されているようです。これはスタートアップと零細企業というニュアンスの違いがありますがこの企業群がクラウドファンディングで資金調達を始めだす事も考えられます。これにより投資家サイドとしては企業の選択肢が増えるという事になります。

  • 個人がやりたい事をやる文化が来る可能性

これは正直陰謀論的な観点という世間的な理解があり、すぐには起こらなく、もしかするとこの先起こらないことかもしれませんが、色々噂されているNESARAが発動するとベーシックインカムが発生するので基本的には会社で今まで通り働くスタイルはよほど好きではない場合はやらなくなる人が増える可能性があります。仕事に行かなくてもある程度の生活が保障されている場合は人々は好きな事をやることになりますので、社会貢献や大きいことをやりたいという人がスタートアップ企業を起こす可能性があります。モチベーションという意味では問題がないので目標が達成されるまでは会社は成長していくと考えられます。上場まで行くかどうかは場合によりますが、上場前に現金化する事ができるので、投資としては成り立つと思われます。

以上の理由から、これからのベンチャー市場は環境的には悪くないどころか、私は少しこれからバブル的な盛り上がりを見せる可能性もあるのではないかとさえ思えてきます。今始めておくと、美味しい時が来た時に、あの時やっておけば。。などの後悔する事はなくなりますね。早く始めて5年か8年後に皆さんと一緒に成功までの道のりを振り返れれば最高ですね。

Equity Crowdfunding投資の上限額(2021年1月時点)

※2021年3月に上限額計算方法が変更され、上限額が増える方向で計算されるようになりました。詳しくはこの下の記事を参照ください。

Equity Crowdfunding投資では、人それぞれ純資産の量や年収により12か月間の間に投資できる上限が決められます。つまり、株のように信用取引やお金を借りて投資するという事はできませんし、この会社が気に入ったから全財産をつぎ込む!などができません。帰ってこないかもしれない投資になるので、その計算は控えめで、大体年収か純資産の5-10%になります。

純資産(Net worth)の計算

純資産の計算で一番大事な部分は持ち家の価値は足し算されないところでしょうか。、家のローン残高も引き算されませんが、ローンが家の適正価格よりも多く残っている場合は(Underwaterの場合)その分が引き算されます。つまり家を買う時に有り金すべて頭金にしてしまったりした場合はその分は純資産になりませんので注意が必要です。持ち家は流動性が低く、住んでいるので直ぐに売ることができないという事で資産と見なされないという事でしょうか。
401kやその他の流動性のある資産、車の価値などは純資産として足し算されます。その他のローンや借金は引き算されます。

例を見ていきましょう。下のテーブルはSECのサイトから引用したものですが、下の全員が持ち家を持っているケースです。Janeの場合は持ち家の価値が残っているローンより$100,000程高い(含み益)ので買い物上手なのですがこれが純資産として組み込めないのが痛いです。Johnの場合は含み益の一部を担保にしてHome equity lineでちゃっかりお金を借りているのですが、60日以内の新しいものだけ負債として計上されているようです。Jamesは家を高値掴みしたのか、家の価値がローンを下回っており、その分が負債として計上されています。その他の項目は資産か負債かというのは直感的に判断できますね。

Primary residence(not included except for related liabilities below):
Jane Doe John SmithJames Lee
  Home value$ 300,000$ 300,000$ 300,000
  Mortgage200,000200,000330,000
  Home equity line:                                                                                          
       more than 60 days old20,000
       less than 60 days old10,000
Included assets:
  Bank accounts$ 20,000$  20,000$  20,000
  401(k)/IRA accounts100,000100,000100,000
  Other investments                   50,000                   50,00050,000
  Car20,00020,00020,000
    Total included assets$ 190,000$190,000$190,000
Included liabilities:
  Student and car loans$ 100,000$ 100,000$ 100,000
  Other liabilities20,00020,00020,000
  Portion of mortgage    underwater30,000
  Home equity line     (less than 60 days old)10,000
    Total included liabilities$ 120,000$ 130,000$ 150,000
Net worth$ 70,000$  60,000$  40,000

具体的な上限額の計算と例

それではNet worthの計算方法が分かったところで具体的に上限額を見ていきましょう。
まず、年間2200ドルまでは誰でも収入や資産に関係なく投資する事ができ、これが下限になります。
年収か純資産のどちらかが10万7千ドル以下の場合はそのどちらか少ない方の5%が年間の上限です。2200ドルの方が計算結果より大きければ2200ドルです。
年収純資産10万7千ドル以上の場合はその少ない方の10%が上限です。
年収が20万ドル以上でかつ純資産が百万ドル以上の状態が過去二年にわたって維持された場合はあなたは既に適格投資家ですのでRegulationCFには少ない方の10%が上限で、RegulationDの枠でも投資可能です。

Annual IncomeNet WorthCalculation12-month Limit
$30,000$105,000greater of $2,200 or 5% of $30,000 ($1,500)$2,200
$150,000$80,000greater of $2,200 or 5% of $80,000 ($4,000)$4,000
$150,000$107,00010% of $107,000 ($10,000)$10,700
$200,000$900,00010% of $200,000 ($20,000)$20,000
$1.2 million$2 million10% of $1.2 million ($120,000), subject to cap$107,000

上限額の変更 (3/17/2021現在)

上限額が最近変更されました(3/15/2021)。上記部分を訂正する形で変更された部分を青字にしています。
まず、年間2200ドルまでは誰でも収入や資産に関係なく投資する事ができ、これが下限になります。
年収か純資産のどちらかが10万7千ドル以下の場合はそのどちらか少ない方多い方の5%が年間の上限です。2200ドルの方が計算結果より大きければ2200ドルです。
年収純資産10万7千ドル以上の場合はその少ない方多い方の10%が上限です。
年収が20万ドル以上かつもしくは純資産が百万ドル以上の状態が過去二年にわたって維持された場合はあなたは既に適格投資家ですのでRegulationCFには少ない方の10%が上限上限は撤廃されて無制限で、RegulationDの枠でも投資可能です。

※下のテーブルの変更は現状の私の理解で行ったものでSECからの正式なものではありません。これであなたの投資上限も上がった事だと思います。この変更で上限が上がりそうな方は、定年で年収は少ないが資産をたくさん持っている人たちや、持ち家に住んで手元資金は家の頭金に入れたのであまり残っていないが年収が高い人などがすごく上がりそうですね。さらなる資金流入が期待できます。

Annual IncomeNet WorthCalculation12-month Limit
$30,000$105,000greater of $2,200 or 5% of $30,000 ($1,500) $105,000 ($5,250)$2,200 $5,250
$150,000$80,000greater of $2,200 or 5% of $80,000 ($4,000) $150,000 ($7,500)$4,000 $7,500
$150,000$107,00010% of $107,000 ($10,000) $150,000 ($15,000)$10,700 $15,000
$200,000$900,00010% of $200,000 ($20,000) Accredited investor$20,000
RegCF unlimited
$1.2 million$2 million10% of $1.2 million ($120,000), subject to cap$107,000
RegCF unlimited

One thought on “はじめにお読みください

  1. I’m impressed, I must say. Seldom do I come across a blog that’s both educative and entertaining, and let me tell you, you’ve hit the nail on the head. The issue is something too few folks are speaking intelligently about. I am very happy I stumbled across this in my search for something concerning this.

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ニュース

SECのルール変更について

Equity Crowdfundingには朗報になりますが、SECが一般投資家のRegCFに対する投資上限の変更と、スタートアップ企業側の公募額上限の増額やその他の変更を行いました。もちろん上げる方向での変更になりますのでクラウドファンディング投資への資金流入の増加が期待されます。さらに資金が流れ込む事により、企業もより早く、より多くファイナンスできる事になり上場へのスピードも加速するのではないかと思われます。さて、ひとつづつ見ていきましょう。

※詳しい計算方法に関してはこのページの投資額上限のタブで例を使って説明しています。

一般投資家の新しい投資額上限

Tier1

年収もしくはNet worthのどちらか、もしくは両方が$107000以下の場合。この場合はどちらか多い方の5%までが上限の投資可能額です。変更点は、今までは”少ない方の5%”でした。

誰でも一年間に$2200までは投資可能ですので、もし年収かNet worthのどちらか多い方の5%が$2200より少なければ上限は$2200となり、多ければ5%の計算結果が上限になります。

Tier2

年収もしくはNet worthの両方が$107000以上の場合。この場合はどちらか多い方の10%までが上限の投資可能額です。変更点はTier1と同じく、今までは”少ない方の10%”でした。これにより、例えば引退した方で年収は年金などで少ないが資金は銀行にたっぷりあるというリッチ退職系の人の投資額が、今まで年金の収入の5%(Tier1に部類していた)に制限されていたのが、銀行資産の10%まで投資できるという事になりますのでかなりの増額になります。

Tier3

Accredited investorの場合ですので、無制限に投資可能です。過去2年の年収が$200000を超えており(配偶者と合わせて$300000を超えている)今年度も同じくらいが期待できる事が条件です。もしくは、Net worthが$1Mを超えている事でも条件が達成できます。(昔は両方満たしているのが条件だったと思うのですが、2019年の1月にどちらかを満たしている事に変わっているのではないかと思います。古いPortalなどでは両方が条件と言っているところもあります。)また、このカテゴリーは他にも条件がありますので下のリンクを見て頂ければと思います。

SECのPress Releaseのリンク(Accredited Investorの定義)

https://www.sec.gov/news/press-release/2020-191

SECのInvestor.govInvestor.govのリンク

https://www.investor.gov/introduction-investing/general-resources/news-alerts/alerts-bulletins/investor-bulletins/updated-3

上限計算上の12か月の期間

たまにこういう公的資料で、大事な部分がわからないので困る時がたまにありますね。上限額は12か月間に投資できる上限というのは理解しましたがいつからいつまでの12か月間かの明記がなく、いろいろ当たってみてもカレンダーイヤーの1/1から計算した12か月か(1/1にゼロにリセット)、ローリングイヤーのその日から12か月遡って計算するのか(上限に達成したら、前年の一番古い投資から一年たった時にその分のみ投資可能だが、投資後また上限に達するので2番目に古い投資日までまた待つ必要がある)解釈ははっきりしないようです。いろんなPortalの解説やセミナーでも話されていますが、基本的にはローリングイヤーで計算しておき、いつどの時点で12か月分を合算しても上限を超えていないように管理する方が安全だと聞いていますし、私もそうしています。過去の投資日と金額を自分で管理する事が非常に重要です。下記はSECの原文の抜粋になります。

Because of the risks involved with this type of investing, however, you are limited in how much

株とデリバティブ投資

Hindenburg Omen点灯

先週中頃にNASDAQが下げ止まりを見せてじわじわと上がっている展開になっていますが、今回は少し戻りが鈍いような感じがしてそのまま積極的に買って行っていいのかが難しい展開です。米国債が一応下げ止まっているように見えますが反転していないのも原因でしょうか。

先週ヒンデンベルグオーメンのシグナルが3/4に点灯したと巷で聞いたのですが、みなさんはこれをご存じでしょうか?過去に2020年の1/30に点灯し、3/23に36.9%のコロナショックの下落につながった歴史があります。

不吉な響きからも想像できるように、マーケット下落というか暴落が近々起こるかもしれない予兆のサインのようです。このサインは統計的な事実と比較してマーケットの状況が逸脱していると考えられた時を捉えるというイメージだと思いますが、点灯条件が少し複雑でしかも細かい所が色々違ったりするのですが、私が調べた範囲で分かった事を個別に見ていきましょう。

52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄数の合計がすべての銘柄数の2.8%以上を占めている場合。マーケットインデックスの52週高値が52週低値の2倍を超えていない事。これは絶対条件のようです。上昇トレンドが継続している事。10週移動平均線や、50日ROC(Rate of change)で確認できる事。McClellan Oscillator が負の値であること。

皆さんなんとなくピンと来たでしょうか?この条件を一瞬で理解して、『あーなるほどね』とか言える人は神ですが、私なりに以下のように理解しました。

インデックスは上昇トレンドを示しているが、かなり加熱しているすべての銘柄が上がっているような激しい短期的に起こる上昇トレンドではなく、緩やかに上がっているトレンドである。詳しく内訳を見ると下がり続けている銘柄が多くなっていて、値上がりと値下がり株の差を移動平均で比較しているMcClellan Oscillatorが負を示しているという事は、値下がり銘柄が多い状態である。つまり、銘柄の動きを見ていると下がっているものが多くなってきているがインデックスのみ惰性で上がり続けている状態という事でしょうか?

自分で個別の条件で判断して見つけるには非常に面倒な指標ですし、あまり点灯しないので、忙しい兼業投資家の方々はニュースとかで点灯した事を確認するだけで十分なんじゃないでしょうか。

それでは、具体的にどうするのかという話の方が重要ですね。シグナル点灯後に暴落が一か月後くらいに起こる可能性が高いという事ですので、私なりに対策を考えました。

VIXなどのボラティリティインデックスを毎日モニターする。米国債金利の急上昇なども注意。

買いで入っている銘柄は上がった時にとりあえず逃げてポジション縮小

ヘッジを入れる。ものによって入れ方は様々ですが、暴落するとVIXは上がるのでVIXの指数先物と連動するVXXなどを買っておくか、先物売りか、株か指数のPut買い辺りでしょうか。

さて、戦略が決まったところで暴落を待つことにしましょう。暴落で取っていくのはタイミングが結構難しいですが、4/4くらいからはVIXの動きを逃さずにモニターして乗っていきたいと思います。キャッシュポジションを温存して下げ止まったところで買いに行くのもいいですが、VIXは非常に狭い上がりきったピークの時などに運よく遭遇できれば、VXXのPut買いなどで暴落後の回復時にも取れるので往復取りができるかというのもチャレンジしてみたいですね。とりあえずこのブログを書いている最中に安値更新中のVXXの4月16日と23日のCallを買って往復の往の部分を仕込んでおきました。皆様も来るかもしれない暴落に備えての戦略を立てて腕試しをしてみるのはいかがでしょうか。

クラウドファンディング投資の基本

投資先のスタートアップの分析 (Deal Checklist)

投資するスタートアップ企業を選別する際は、通常の株式投資と違って開示情報なども少なく、会社の良し悪しを判断するためのデューデリジェンスを行うのが難しい場合が多いです。また、どのステージで投資に参入するのかという事も重要になってきます。この章ではクラウドファンディング投資の際のDeal flowを分析する上で一般的に使用される方法についてDeal checklistとしてまとめてみようと思います。

雑草を抜く財務の健全性マーケットSeries-A,B,CStage毎のシェアの希薄化

Weed out the Losers

Early Stageのスタートアップがどのような資金を必要としているのかという分析から始まり、その会社が参入しようとしているマーケットを理解を深め、将来性のあるクラウドファンディングのDealを見つけるというのは株式ポートフォリオを少しいじるのに比べて、非常に難しいですが、その分成功すればリターンは当然大きくなります。半面、経験のあるエンジェル投資家でも半分のポートフォリオは2,3年以内にやられてしまうと言われている現実があります。

このような事を考えると、最高のDealを見つけるという事はまずは最低のDealをリストから除外するという事が成功の可能性を上げるうえで一番最初にやるべきことであると考えられます。それでは、どのような会社がBad Dealである雑草であり、除外する対象になるのでしょうか。悪いDealによくみられる警告サインについてリストアップしてみましょう。

創業チームの誰もがその業界の十分な経験がないのは危険です。業界がどのように動くのかという現実的な知識に詳しいアドバイザーが初期段階で必要です。

創業チームの誰もが財務の経験がないのも危険です。創業チームにいない場合は実際の数字に詳しいアドバイザーが必要です。

経営陣のマーケットシェア獲得の見積もりが過大な場合は危険です。スタートアップ企業が初年度で10%のマーケットシェアを新たに取るなどとうたっている場合は眉唾ものです。基本的にはうまくいって一桁が現実的な所です。

経営陣の出す工程表が楽観的過ぎたり、現実的でなかったりする場合は危険です。発達段階の会社が、ゼロから始めて2,3年後にIPOなどというのは基本的には非現実的です。

競争相手を過小評価している場合も危険です。たとえどれだけニッチな分野だとしても、必ず競争相手がいます。最新の技術やプロダクトなどで競争相手がいないと言っている経営者は無知か自信過剰です。多くの場合、業界に競争相手がいて負けないよう意識しながら発展していく状況の方が健全な場合が多いです。

競争過密なマーケットにいるスタートアップに投資するのは多くの人が敬遠するかもしれませんが、スタートアップがそういう業界にプロダクトを持っている場合は、何かその会社独自の強さを持っている可能性があり、それが他社をひきつけて買収される事につながる可能性も考えられます。

財務に関しての注意事項

ここでは簡単に経営者の財務に対する姿勢も含めての警告サインを見ていきます。

たとえEarly Stageのスタートアップでも財務報告が全くなく、コストの見積もりや支出の見直しをしていないのは危険です。利益がなくとも、コスト体制や売り上げの見積もりは出していないと危険です3年以上売り上げが出ていない場合は危険です。製薬業界などプロダクトを出すまでに長時間かかる業界は別として2年以内には売り上げが出ている事が望ましいです。

マーケットに関して

スタートアップ企業の創業者はマーケットシェア獲得のために競争するよりもニッチなマーケットを目指す傾向があります。つまり、ターゲットとするマーケットが現実離れしている可能性があります。まずは危険信号から見ていきましょう。

スタートアップがターゲットにしているマーケットのトータルのサイズが$100M以下の場合は成長が期待できないかもしれません。スタートアップが5%のマーケットシェアを取って売り上げが年間$5Mになりますが$200M以上のマーケットをターゲットにしている会社が望ましいです。

各マーケットに対してのコストの見積もりが競争相手と比べて非常に楽観的である場合は、競争相手の上場企業の年次レポートなどを確認して真偽を確かめる必要があります。スタートアップ企業のコスト体制が上場企業よりも効率的なことは稀です。

スタートアップが非常に幅広くいろんなマーケットに参入していたり、相当ニッチな所のみでビジネスをやっているかというどちらか両極端の場合も危険信号です。ある程度のサイズのトータルマーケットは必要ですが、幅広すぎるマーケットではスタートアップはそれぞれの競争相手と戦い続けることはできませんし、ニッチすぎる場合はマーケットの伸びが期待できないことになります。

次にマーケットリサーチをする上で重要になってくることは何でしょうか。スタートアップ企業に投資する際は、自分もビジネスパーソンの一人になり、シビアにスタートアップ企業がそのマーケットで戦っていけるのかを判断できるようになる必要があります。どのようにマーケットを見ていけばいいのでしょうか。

マーケットサイズと毎年のマーケットサイズ伸び率

そのマーケットでスタートアップ企業と競合他社がどれほどの売り上げを上げているのか

マーケットの状態(独占か共存か)

マーケットが地元限定かそれとも広いエリアもしくはグローバルか

企業がどのようにマーケットを取りに行っているか(低価格路線、プロダクトの品質、競争力の高いセグメント)

企業がどのような宣伝や広告を行っているのか

新しい競合他社がマーケットに参入した時の競合他社の反応方法はどうか(価格競争、もしくは違う方法)

プロダクトが季節ものなのか通年同じように売れるのか

プロダクトのセールスサイクルはどれくらいなのか。(材料購入から出荷まで)セールスサイクルが長くなると売り上げからキャッシュが入ってくるまでの時間が長くなるので会社を維持するための資金がその分多く必要になります。

ここ10年でマーケットはどのように変化したか、また次の10年でどうなるのか

最初のステップはマーケットサイズの把握です。例えばアメリカでの車とトラックの総売り上げ台数は19M台で、金額は$61Bです。幾多もの会社がこのマーケットでひしめき合っています。このようにスタートアップ企業が参入している全体のマーケットサイズを理解するのが最初のステップになります。

次にトータルのマーケットが毎年どれほど伸びているのかと、どれほどの売り上げを競争相手が上げているのかを見る必要があります。また、経営陣がうたっている売り上げ目標は単純にマーケットサイズで割ると必要なマーケットシェアになるので、それが現実的に可能かの判断ができます。

マーケットが2,3個の大きな競合他社に独占されている場合は彼らはシェアを強固にするために値下げや広告を打って立場を強化してくるので手ごわい環境ですが、ばらばらの競合他社によって共存されているマーケットでは、マーケットシェアを増やす事は難しくはない分、新規参入企業にシェアを奪われる危険も伴います。

スタートアップ企業は伸び続けなくてはいけませんので、マーケットが広いエリアもしくはグローバルでなくてはいけません。エンジェル投資家はマーケットが$100Mか$200M以下の企業は投資判断から外すと言われています。もし企業のシェアが2,3%ならば、自分の投資額が10倍になるには一体どれくらいマーケットが大きくならないといけないのかを考えた時に現実的ではないと思えますね。

マーケットには競争の厳しいセグメントがあります。価格競争とクオリティ競争です。低価格競争はサイズメリットのないスタートアップ企業には成り立たない分野です。スタートアップ企業はクオリティや差別化のできるセグメントで勝負するのが向いています。マーケットリサーチでは、企業がこのセグメントでそのプロダクトが確実に顧客を納得させることができるのかを調査する必要があります。

企業がどのような広告媒体(TV,インターネット、新聞)を使用しているのか、また競合他社はどうなのか。客を獲得する際の宣伝文句やそれが経営陣のマーケティングの方向性とマッチしているのかなども確認する必要があります。

競合他社が価格競争で新規参入の企業を排除する動きになった場合は自身が投資しているスタートアップ企業は追従するのか、また売り上げへの影響はどうなるのかなどを考察する必要があります。

Series-A,B,C…

スタートアップ企業はEarly stageでのテストプロダクトを成功させて次は大量生産モードに入るためにさらなる規模拡大の資金調達が必要になります。この初めの段階はSeries-Aと呼ばれてベンチャーキャピタルなどが参入しだすタイミングです。

その後、Series-B, Series-C, Series-D…と資金調達が繰り返されますがこの各段階はラウンドと呼ばれます。この段階のどこかで会社の利益はプラスに転換します。スタートアップ企業はValuationで大きさが図られますが、この段階では企業のシェアを多く手に入れようとした場合はSeed Stageで投資した投資家と同じくらいのシェアを何倍も多く投資する必要があります。

Seriesの最終段階では企業はIPOのコストのための資金調達をして投資銀行などとIPOの手はずを整える準備に入ります。この最後のラウンドはBridge-financingなどと呼ばれ、IPOまでのつなぎの資金調達という認識になります。

ここまで来るとあとは座してIPOを待つという段階に来ますので成功はすぐ目の前ですね。場合によっては持ち株を増やして会社のシェアを維持するための追加投資なども考えてもいいかもしれません。

Stage毎に投資する必要があるか

最期に株の希薄化について少し考えてみたいと思います。初めに投資した額で買った株は各ラウンドを経るごとに資金が流入することで希薄化していきます。

Seed Stageで$1000投資をしてもその後のStageで会社が新株発行で資金調達すると持っている会社のシェアの比率が希薄化により下がります。それを防ぐためには初めのラウンドで投資して終わりではなくその後のラウンドでも引き続き投資をする事によって自分の持っている会社のシェアの比率が下がる事を軽減する事が出来ます。

ただ、Seed Stageで$1000投資していればIPOまでこぎ着けた段階で株価が上がりますので会社のシェアを心配しなくても多額の利益が確定しているのでそこまで心配する必要はないと思いますが、戦略としては数撃ちゃ当たるのショットガン戦略で一発投資して次のターゲットに行くか、しつこく同じ会社に撃ち続けて希薄化を防ぐ戦略で行くか個人の好み次第で判断する必要があるのではないでしょうか。

クラウドファンディング投資の基本

資金調達のステージとは

スタートアップ企業のビジネスの利益は一般的に知られるJ-カーブに従う場合が多いと言われています。皆さんもエクイティクラウドファンディングに投資する際はこの事実を頭の片隅に入れて投資を行う事が大事だと思います。J-カーブに伴う資金調達のパターンは各状況での段階を経て行う事が多く、この各段階はステージと呼ばれます。ここではJ-カーブについて軽く触れた後に、一般的に使用されている各ステージについて見ていきましょう。

J-カーブSeed StageEarly StageSeries-A,B,CStage毎のシェアの希薄化

J-Curveとは

J-カーブでは下の4つのステージがあります。この区切りは別に明確な線引きがされているわけではなく、その辺りで資金調達がされた場合はどこどこのStageでの資金調達という形で認識されるといった感じでしょうか。各Stageでは複数回の資金調達がされる場合があり、それぞれはラウンドと呼ばれます。

Source:Lionel Guerraz’ blog

Seed Stage

Seed stageは見た目通りValley of Deathと呼ばれるJの底部分に向かっていく所になります。売上がないので当然と言えば当然で利益の部分はマイナス方向に沈んでいく事になり、支出のみが続くStageです。投資は自己資金や家族友人からが中心になりますが、エンジェル投資家や、たまに物好きな勇者が参加するかもしれません。

Early Stage

Seed Stageを抜け出すと、少し売り上げが入りだしますので支出を部分的にカバーできるようになりますが、まだ支出が続いているところが多いでしょう。Early Stageの最初のラウンドでの資金調達はテスト的なプロダクトやサービスを狭いマーケットに提供したり、従業員を増やしたりするのに費やされます。そしてテストが成功して会社の将来性が見えてきた所でさらなるスケールアップのための資金調達が2回目のラウンドで行われ、もしかするとこの辺りから売り上げが支出をカバーしてブレークイーブンになるかもしれません。ベンチャーキャピタルが参入してくる頃で、我々クラウドファンディング投資家の出番です。

Series-A

Early Stageを抜けた会社はかなり強くなっているので将来性も確信できるので、最初のラウンドではビジネスのスケールアップを目的に資金調達がされます。Early Stageと同じような顔ぶれの投資家ですが、銀行なども融資をし出す頃ではないでしょうか。

Series-B 以降

この段階まで会社が成長すると、いくつかのラウンドでさらなる規模拡大が行われますが、最終ラウンドではIPOの審査に通る事を視野に会社の規模を大きくしたり審査のコストを準備したりという大詰めの段階になります。この辺りは担当投資銀行やIPOを扱う引き受け証券会社なども入ってくる頃ですね。

Seed Stage

Seedとは種という意味ですのでそのまま種植えの段階です。会社の創業者はアイデアのみはありますが、実際にマーケットでテストしたり、検証したり、法的な書類作成などは行っていません。自分の知人や友人から借りたり自己資金を使いながらさらに資金調達をしてビジネスをスタートさせる段階がSeed Stageと呼ばれます。その名の通り、このステージがなければ種が地面に埋まることはないのでビジネスとしてスタートする事はなく、頭の中のアイデアで終わります。この段階が一番リスクの高い状態で、90%のスタートアップはこの時点で失敗すると言われています。失敗する理由としては、資金調達がされると従業員も増えるのですが、創業者が自分のコントロールを失いたくないために権限を他のメンバーに移すのを渋り、チームとして円滑に事が運べないスタートアップは創業者が色々なことに精通しているべきですが、創業者にスキルがなかったり、エネルギッシュにそのスキルを習得することを避けたり、そもそもハードワークを避けたりなどの創業者のメンタルが原因のケースこのステージの投資家は創業者自身はもちろんですが、他の投資家はFFFと呼ばれています。FAMILY, FRIEND, FOOL(笑)です。ファミリーやフレンドはわかりますが最後のフールというのは部外者で投資しているバカという事ですね。それくらいリスクが高いという事が理解できます。この時点の投資家はビジネスよりも創業者を個人的に応援しているケースが多いと思います。創業者はスタートアップ経験が豊富なアクセラレーターやインキュベーターなどに助けられながら成長していく事になります。エクイティクラウドファンディングでこの段階で参入する事はまれだと思いますのでFOOLになれるチャンスは残念ながらあまりなさそうですね。(笑)

Early Stage

ようやくスタートアップ企業はSeed stageを乗り越えてやっとテストプロダクトなどを売り出せる状態になってきます。この段階ではSeed stageで調達した資金が底をついてくるので新たな資金調達が製品の量産やセールスの拡大の為に必要になってくる段階です。Seed stageを乗り越えて出したプロダクトは将来性のあるものと認識はされますが、Early stageではより大量に広範囲にプロダクトを広げていく必要があります。広範囲といっても今までのテストよりという意味で、地元の一部のエリアにサービスを提供するという範囲になります。この段階では利益が入ってくる段階ですので支出を収入が補いだす状態になり、J-カーブが上向きの方向に変わりだす変曲点の位置になります。このステージでは、規模の拡大に伴うリスクが考えられます。ビジネスのサイズアップは滞りなく行え、コストの上昇など期待外の損失の可能性はないか。お客さんの満足度は満たされるかやマーケットシェアは獲得できるのか下請け業者などが会社の規模のスケールアップについてこれるのかこの時点で投資する場合はビジネスの将来性やプロダクトの強さ、マーケット動向などを考えてDeal flowに参加するかどうかを決定する必要があります。私はこの段階が我々クラウドファンディング投資家のメインのターゲットになると思います。

Series-A,B,C…

スタートアップ企業はEarly stageでのテストプロダクトを成功させて次は大量生産モードに入るためにさらなる規模拡大の資金調達が必要になります。この初めの段階はSeries-Aと呼ばれてベンチャーキャピタルなどが参入しだすタイミングです。

その後、Series-B,